エッセイの書き方:題材の見つけ方から一冊にまとめるまで
Novelleo編集部 · 更新 · 12 分で読めます
結論
エッセイは、自分が体験した出来事と、そこで気づいたことを読み手に手渡す文章です。心が動いた場面を一つ選び、書き出しで引き込み、具体的な場面を描き、最後に気づきを短く添えるのが基本の型です。説明より場面を多くすると、読み手の心に残ります。
エッセイとは?随筆と同じもの?
エッセイとは、書き手が自分の体験や見聞きしたことをもとに、感じたことや考えたことを自由な形で書いた文章です。日本語では「随筆」とほぼ同じ意味で使われます。
日本には古くから随筆の伝統があり、清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』、兼好法師の『徒然草』は、学校でも習う代表的な作品です。どれも、日々の出来事や身の回りのものから、書き手ならではのものの見方が立ち上がってくる文章です。
いまのエッセイも同じです。大きな事件は要りません。朝の台所や通勤電車のような小さな場面から、読み手が「わかる」「そんな見方があったのか」と感じる一点を見つけて書くのが、エッセイの醍醐味です。
日記・コラム・小説とは何が違う?
エッセイと似た文章との大きな違いは、読み手を想定しているかどうかと、文章の中心に何があるかです。
日記をエッセイにするには、「知らない人が読んでもわかるか」を考えます。日記なら「Tさんとまた例の店へ」で済みますが、エッセイでは、Tさんが誰で、なぜ「例の」店なのかを、読み手に伝わるように書く必要があります。
コラムとの違いにも注意しましょう。コラムは主張や情報を伝えるのが目的なので、結論を先に書くのが基本です。エッセイは結論より体験が中心で、読み手が書き手と同じ場面に立てるかどうかが大切です。4つの文章の違いを、下の表にまとめました。
| 種類 | 誰に向けて書くか | 中心にあるもの | 事実か創作か |
|---|---|---|---|
| 日記 | 自分 | その日の出来事の記録 | 事実 |
| エッセイ | 読み手 | 体験と、そこからの気づき | 事実(自分の体験) |
| コラム | 読み手 | 主張や解説、情報 | 事実や資料 |
| 小説 | 読み手 | 登場人物と物語 | 創作 |
エッセイの題材はどうやって見つける?
題材は、特別な出来事より「なぜか引っかかったこと」から見つかります。ちょっとした違和感、ずっと捨てられない物、家族の口ぐせなど、自分の心が少し動いた瞬間を、スマートフォンのメモや手帳に書き留めておきましょう。
メモは一行で十分です。「駅前のパン屋が閉店。最後の日に長い列」「父は電話口でだけ敬語になる」のように、出来事と、引っかかった点だけを書いておきます。書くことに迷ったとき、そのメモ帳が題材の倉庫になります。
例えば「母はいつも、玄関のドアノブに輪ゴムをかけていた」という記憶があるとします。それだけでは一行の思い出ですが、なぜそこだったのか、自分もいま同じことをしていると気づいた、と掘り下げていくと、一編のエッセイになります。題材に迷ったら、次のような問いから探してみてください。
- 最近、思わず笑ったこと・むっとしたこと
- 何年も捨てられずにいる物
- 家族や友人の口ぐせ
- 初めてやって失敗したこと
- 季節が変わったと感じた瞬間(におい、音、光)
- 昔は苦手だったのに、いまは好きになったもの
エッセイの構成は?「書き出し→場面→気づき」の型
初めて書くなら、書き出し・場面・気づきの3つの部分で組み立てると形になりやすくなります。割合はあくまで目安ですが、場面にいちばん多くの字数を使うのがポイントです。
気づきの部分で「家族は大切だと思った」のようにまとめてしまうと、せっかくの場面がありふれた教訓に変わってしまいます。結論は読み手に少し預け、最後は場面や動作で終えるくらいがちょうどいいでしょう。
下の例文は、この型で書いた短いエッセイです。最初の一段落が書き出し、母の手つきから実家を片づけた日までが場面、自分の家のドアノブに気づくところからが気づきにあたります。
- 書き出し(全体の1割ほど):読み手を引き込む一文。場面や会話、意外な一言から入る
- 場面(全体の6〜7割):何が起きたかを、いつ・どこで・誰と・何を見聞きしたかまで具体的に描く
- 気づき(全体の2〜3割):その体験で何を感じ、見方がどう変わったか。短く、言い切りすぎずに
うちの玄関のドアノブには、いつも輪ゴムがかかっていた。 新聞をまとめるとき、母はドアノブから一本はずし、慣れた手つきで束を十字に縛った。届いた郵便物も、使いかけの乾物の袋も、みんなその輪ゴムでとめられた。子どものころの私は、それが少し恥ずかしかった。友だちの家のドアノブには、何もかかっていなかったからだ。 母が亡くなって、実家を片づけた日のことだ。玄関のドアノブには、茶色く伸びきった輪ゴムが三本、まだかかっていた。私はそれをはずせずに、しばらく立っていた。 先週、自分の家で古紙をまとめようとして、ふと手が止まった。私の指は、何も考えずに玄関のドアノブへ伸びていた。そこには、いつのまにか輪ゴムが二本かかっていた。 いつから、そうしていたのだろう。覚えていない。 輪ゴムは、今日もドアノブにかかっている。はずすつもりは、もうない。
書き出しの一文は、どう書けばいい?
読み手は、最初の数行で読み続けるかどうかを決めます。「今日は〜について書きたいと思います」という前置きは削り、いきなり本題に入りましょう。
書き出しの一文は、本文を書き終えてから見直すのがコツです。最後まで書くと何についての文章なのかがはっきりするので、それに合う入り方を選び直せます。入り方には、次のような型があります。
- 場面から:「駅のホームで、見知らぬ人に傘を渡された。」
- 会話から:「それ、まだ使ってるの?」と娘に言われた。
- 意外な一言から:「私は、ほめられるのが苦手だ。」
- 問いかけから:「最後に手紙を書いたのは、いつだっただろう。」
エッセイは何文字くらい書けばいい?
エッセイの長さに決まりはなく、載せる媒体やコンテストの規定によって変わります。応募する場合は、その募集要項の文字数に合わせてください。
初めての一編なら、1,200〜2,000字(400字詰め原稿用紙で3〜5枚)を目安にしてみてください。場面を一つと気づきを一つ書くのにちょうどよく、長すぎて焦点がぼやけることもありません。慣れてきたら、場面を二つ重ねて4,000字ほどのものにも挑戦できます。
書き上げたら、タイトルもつけましょう。内容を説明する題(「母と輪ゴム」)より、文章の中の印象的な物や言葉をそのまま使った題(「ドアノブの輪ゴム」)のほうが、読み手の興味を引きやすくなります。
推敲では何を見直せばいい?
書き上げたら、少なくとも一晩置いてから読み直します。書いた直後は頭の中で足りない部分を補って読んでしまうため、説明不足や余計な一文に気づきにくいからです。
気持ちを説明している文は、動作に置き換えられないかを考えます。例えば「その日は本当にとても悲しくて、胸が張り裂けそうだと思った。」という一文は、「その日、私は玄関で靴を脱ぐのに三度失敗した。」のようにそのときの動作で書くと、悲しさがかえって強く伝わります。
迷ったら削る、が推敲の基本です。削っても意味が通じる一文は、読み手にとっても要らない一文であることが少なくありません。見直すときは、次の点を一つずつ確かめてください。
- 声に出して読み、つっかえる文を短くする
- 「とても」「本当に」など、強めるだけの言葉を減らす
- 「〜と思う」「〜と感じた」が続く箇所を、場面の描写に置き換える
- 気づきを説明しすぎていないか確かめ、言い切りすぎた一文を削る
- 「です・ます」と「だ・である」が混ざっていないか確かめる
書きためたエッセイを一冊の本にするには?
エッセイは一編ずつ完結しているので、書きためていけば自然と一冊分になります。1編2,000字のエッセイが30編あれば約6万字、400字詰め原稿用紙で150枚ほどの分量です。
まえがきには、なぜこれらのエッセイを一冊にまとめようと思ったのかを書きます。あとがきには、書いていた期間や、書きながら自分の何が変わったかを書くと、一編ずつ読んできた読み手に、本全体の手ざわりが伝わります。
本のタイトルは、収録したエッセイの中でいちばん自分らしい一編の題をそのまま使うと、本の顔がはっきりします。まとめる手順は次のとおりです。
- 書いたエッセイを一覧にし、テーマごとにフォルダや付箋で分ける
- 「家族」「仕事」「季節」のように3〜5のまとまりを作り、それぞれを章にする
- 章の中の並び順を決める(季節順、時系列、印象の強い順など)
- 章と章のあいだをつなぐ短い文章や、まえがき・あとがきを書き下ろす
- 本全体のタイトルを決め、表紙と目次をつけて、PDFや冊子にまとめる
Novelleoでエッセイ集を書くには?
Novelleoは、本を書くためのアプリです。「自分の物語」を選んでいくつかの質問に答えると、タイトルと4〜20章の章立てが用意され、AIが章ごとの下書きを一緒に書きます。家族や季節など、エッセイ集の章のまとまりを先に決めてから始めると進めやすくなります。
下書きは一行ずつ自分で書き直せるので、最後は自分の言葉で仕上げられます。推敲には、AIによる書き直しや執筆コーチも使えます。完成した本はPDFやWordで書き出したり、著者プロフィールとともにNovelleoの公開ライブラリで公開したりできます。最初のAI章は無料です。
よくある質問
- エッセイは「です・ます」と「だ・である」のどちらで書くべきですか?
- どちらでもかまいませんが、一編の中ではどちらかに統一します。「です・ます」はやわらかく語りかける印象に、「だ・である」は歯切れよく引き締まった印象になります。書きたい内容の温度に合わせて選びましょう。
- エッセイにオチは必要ですか?
- 笑いのオチは必要ありません。ただ、読み終えたときに何かが少し変わったと感じられる着地点は必要です。書き出しと結びで、書き手の見方がほんの少し動いているかを確かめましょう。
- 実在の家族や友人のことを書いてもいいですか?
- 書いてかまいませんが、公開するなら、本人が読んで傷つかないかを考えます。気になる場合は名前を伏せたり、本人に一度読んでもらったりすると安心です。
- エッセイが上達するには、毎日書いたほうがいいですか?
- 毎日でなくてもかまいませんが、題材のメモは毎日続けるのがおすすめです。書く日は週に一度でも、材料がたまっていれば、机に向かったときにすぐ書きはじめられます。
- 作文とエッセイはどう違いますか?
- 学校の作文は、決められたテーマについて考えをまとめる練習の文章です。エッセイは自分で題材を見つけ、見知らぬ読み手に向けて書く点が違います。
エッセイ集を書きはじめる
最初のAI章は無料です。
あわせて読みたい
AIの補助で下書きし、Novelleo編集部が編集しました。
